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the world as code

脳内 dump のための Dynalist と、永続する外部脳としての Scrapbox

前回のエントリー で notion と Scrapbox の個人的な比較と、階層整理に関するお気持ちを書いた。その上で、現状じゃあ notion とか Scrapbox とかどうやって使ってんの、という話を今度書きます、と書いて1か月ぐらい経っちゃったので書く。

個人で整理したい情報には何があるのか

そもそも何の情報を整理したいんだという話がある。ていうか、なんで情報整理なんてしたいんだという人もいるような気はする。特にデジタルツール使ってなくて、簡単なメモ帳だけ持っててそれで十分やっていけてます、というような人とか。

僕はわりと頭の中でごちゃごちゃと考えるタイプ、人からは時に「頭でっかち」と言われることもあるようなタイプで、あんまり脳の性能が良い気がしていない。タスクがわーっと振ってくるとてんやわんやになって、何をやればいいのかわからず、下手をするとやる気が消失する。逆に、取り組んでいるタスクが興に乗って過度に集中すると、何も書き出さず頭の中でひたすら考えては試しまくる、というようなことをやってしまい、終わって数日経ってから「あのとき何をしたんだっけ?」となることもある。従って、外からインプットした情報、自分の中で考え出した情報を書き留めておく場を常に欲している。書いて考えを落ち着ける、書いて考えをまとめる、書いて状況を整理する、それで初めて行動可能になる、というときがある。

なので、取りあえずメモリをダンプしておくところがほしいというのが1つ。今何やってんだっけ、今何しなくちゃなんだっけ、っていう現在進行形の頭の中をそのまま書き出して取っておくところがほしい。この用途で Dynalist を使っている。そうじゃなくて半永久的に保存しておくようなメモには Scrapbox を使っていて、一部だけ notion を使っている状況。

Dynalist

Home - Dynalist
Home - Dynalist favicon https://dynalist.io/

アウトライナー。アウトライナー自体それほど知られたツールでもない気がするのだが、文を並べて階層構造をつくったり、並び順を入れ替えたりして整理できるツール、と言えばいいんだろうか。エンジニア界隈で一番有名なアウトライナーは Emacs org-mode な気がする。

冒頭に書いたとおり脳内のダンプ場所という感じ。ちなみに Brain dump っていう、頭の中にあることを全部書き出して整理するメソッドがあるらしいんだけど、そういう一過性のものというよりは、頭の中にあることをここに一度書き出して、脳内の状態と差分が出たら逐次更新して同期するみたいな感じで使っている。たまに訳わからなくなると書き直したりはするけど。

やっていることとしては 様々なTODOアプリやタスク管理方法を試行した結果最終的にプレーンテキストに行き着いた話 - みんからきりまで に近いのかもしれない。結局 TODO アプリって、そのアプリの思想に則ったタスク管理を強いられる側面があるし、タスク以外のちょっとしたメモとか参考資料のリンクなどを上手く保存できるものでもない。そこで柔軟性を鑑みてアウトライナーに行き着いた感覚。僕も昔、テキストファイルでタスク管理していた頃があったけど、さすがに機能が物足りなくてやめたことがあった。 Dynalist だと繰り返しタスクの設定ができて、取り消し線を引くと1週間後に自動リスケジュールしてくれたりとか、 CSS いじれて見た目わかりやすくできたりとか、いろいろメリットを感じている。日付を付与する機能もあって、1週間後までの日付が付いた行とかを検索できて、タスク管理には便利。絵文字も積極的に使って見やすくしている。

Image from Gyazo

もっと言うと その日付をすてろ に書かれていることが一番近い。今やっている、気にしなくてはならないプロジェクトを並べておいて、その中に進捗書いたり、細分化したタスクを並べたりしている。ちなみに上のスクショが現時点の実際の Dynalist で、このブログも「memo ツールのブログを書く」の階層配下に直接書いているところ。

「今日」やることは1個「Today」という階層を掘り下げてそこに並べて区別している。1日の始まりに「Today」の中にタスクを書き出す。日中はそれを見つつ、上の階層にあるプロジェクトを広げてメモを取ったりする。終わったタスクは順次取り消し線を引く。1日の終わりに、終わったタスクは消して、残ったタスクは次の日に持って行くか、さらに数日送るのあれば日付だけくっつけて一旦「icebox」階層に移動させる(Trickler file を意識している)、要らないものは消す。そういうサイクルでやっていっている。

「Today」の中はメモを放り込む場所でもあって、水平線の上はメモ扱いにしている。例えば「あとで読む」サービスの Pocket を長いこと使っていたんだけど、 Pocket を開く機会が特に通勤が無くなってからかなり減ってしまったことに気付き、今は読みたい記事も「Today」に放り込むようになった。 Dynalist には「inbox」という機能があり、ある階層を「inbox」として指定すると、 webhook に対して投げた文章を全部その中に保存してくれるようになる。これを使っている。「Today」に入れたものは1日の最後に見直して振り分けするルールにしているから、嫌でも目に入って何かしら処理されることになる。

Scrapbox

Image from Gyazo

なんでも入れておくメモ。便利。本当に便利。何回か取り上げているのでもう詳しくは書かないけど便利。2017年から、もう3年以上使っているけど、乗り換えたいなとかしんどさを感じるなとかが全然なくてすごい。

最近は public にブログのような使い方をしている人も増えてきているけど、僕は private で使っている。理由としては public 状態だと「この内容は公に書いていいんだっけな」というジャッジが挟まってしまうから。メモするときに認知負荷をかけたくない。検索窓で「これ過去に書いたことあったっけ」っていうワードを探して、特に引っかからなければ何も考えずページ作って書く、という動作をスムーズにやりたい。

ただ、 public な Scrapbox というのもすごく面白そうだとは思っている。ブログのようにある程度磨かれた形ではなくて、多少生の状態の文章をどんどんアウトプットするための場所なので、スピーディかつ本音のままに近い文章が書けるし読める。最近 100DaysToOffload - hub という記事を見かけた。1年100記事という「量」の目標だけを掲げて、質などその他のことは何も考えないことで、とにかくガンガンにアウトプットしようというプラクティス。この用途には Scrapbox は最適だと思う。他人の public Scrapbox を読むのはすごく好きで、 scrapbox.io 全体における、はてなブックマーク新着人気エントリーの RSS を購読している。

Image from Gyazo

ここ半年ぐらいは Pixela と連携して、 Scrapbox にどれぐらい書き込んでいるか、草を生やして可視化できるようにしてみている。別に義務感で Scrapbox やっているわけじゃないんだけど、「おー、結構書いてるな」というのがわかると純粋に楽しい。設定方法は Scrapbox への更新がどれくらい活発におこなわれているかを Pixela で可視化する - えいのうにっき で解説されている。

Gyazo

Image from Gyazo

副次的に、Scrapbox を開発している NOTA が同じく運営する Gyazo も便利で、こちらはお金を払っている(月額390円)。スクリーンショットの共有サービスと思われている側面が強いけど、当然ながら画像ファイルであればなんでも格納できて、ポイントとしてはすべての画像について OCR スキャンがかかるところ。 Chrome 用の Gyazo 機能拡張を使えばウェブページまるごとスクショして、その内容を検索できるようになるし、 Kindle など電子書籍も気になったところは iPad でスクショ撮ってメモ書き込んで Gyazo に突っ込んで検索できるようにしている。 Scrapbox に貼る画像も基本的には Gyazo に上がる形になるのだが、 Scrapbox 側で Gyazo の OCR 結果までは検索できないのがちょっと残念なところ。

notion

前回の記事 で使い道は書いたので割愛。あくまで補足的な使い方。

ツールの使い分け

Dynalist と Scrapbox の2つを主に行き来しながら使っているわけだけど、たまにこれらをどっちかにまとめられないかな、というのは考える。でも結局無理だなというのが今のところの結論。 Scrapbox の、情報や知識が勝手に繋がっていく感覚は Dynalist には無理だし、 Scrapbox はアウトライナー的な使い方ができなくもないけれど、先述した日付に関する機能などはないので、 Dynalist 的に使おうとするとしっくりこない。まぁ適材適所かな、と考えている。タイトル通り、揮発性の一時的な脳内 dump ツールと、不揮発性の永続的なストレージと考えると棲み分けもスッキリする。