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the world as code

日々をそのまま書き下して管理すること、あるいはLogseqとWorkflowyの話

Logseq というNote Takingのためのツールを今年に入ってから何度か試してみては、うまく自分にフィットせずに諦める、ということを繰り返している。

Note Takingの分野だと、昨年ぐらいからは Obsidian も流行っているが、LogseqもObsidianと同じく、ローカルのファイルシステムに保存する形式を取っている。Wikiのようにページ間のリンクを容易に作れる、デイリーページの機能がある、Markdownを書ける(Logseqのほうは厳密にはMarkdown likeではあるが)というあたりも両者は似ている。大きく異なる点としては、Logseqでは各ページをアウトライナーのように編集することができ、箇条書きの前後や階層構造を入れ替えたり、特定の階層配下だけを切り出して画面に表示したり、といったことができる点だろうか。タスク管理の機能がLogseqにはデフォルトで内蔵されているが、Obsidianには内蔵されていないという違いもある。LogseqはOrg-modeに似ている気がする。使ったことはないのだが。

僕は長らく WorkflowyDynalist といったアウトライナーを使ってデイリーページを書いてきた。デイリーページ、あるいは日記、あるいは日報。そもそもなんで日報を書くのか、という話は 日記駆動仕事術のススメ | DevelopersIO とか 日報・週報を自分の役に立てるために書く - 発声練習 とかに譲る。毎朝その日のToDoをガリガリ書き出して、それを1つずつ潰しつつ、メモを取りつつデイリーページを埋めていくのが僕の1日だ。

アウトライナーというのは箇条書きの文章のアウトラインを編集するツールであり、デイリーページのための機能があるわけではない。毎日デイリーページの階層を切って、その下につらつらと書き連ねている。そんなことをするなら、最初からデイリーページ機能のあるアウトライナーっぽいツールであるLogseqを使えばいいんじゃないか、という思いから試しているわけである。Logseqはその日初めて「journal」という場所を開くと、勝手にその日のページが作られて開くようになっている。Workflowyでその日の階層を切る、というのもそこまでの手間ではないが、勝手にその日のためのまっさらなページが用意され、前日のことは見えなくなる、というのは、試してみると結構体験がいい。

しかしながら、結局Workflowyから移行するところまでは踏み出せない。

おそらく、デイリーページとして使いたいだけならLogseqに勝るものはない気がしている。しかし自分がアウトライナーを使っている目的はデイリーだけではなく、タスク管理全般に使っている。つまるところ「その日1日の全体像の把握」と、「ここ最近自分が気にしていること、やっていることの全体像の把握」だ。今日やったこと、というのが、今日その日だけの関心であればそれでいいのだが、実際はその日にやったことは大きな全体の一部であることが少なくない。そのダイナミクスを管理したい、というのが自分の求めるタスク管理ツールになっている。

例えばWorkflowyでデイリーページをこんな感じで書いているとする。

Image from Gyazo

このとき、「その仕事」はいざ取りかかってみたら案外考えなくちゃいけないことが多そうだな、という感じになっている。すると「その仕事」はこの日だけの話ではなくなる。そういうときにアウトライナーであれば、

Image from Gyazo

こんな感じで「その仕事」をデイリーの枠の外に引っ張り出せる。1日1日、という枠を越えてなんか考えなくちゃいけない、ならデイリーの中じゃなく1個上の階層に置いとこ、ということができる。これはざっくりした例だが、自分が認知したいかたちに合わせて自在にメモの階層構造を変化させられるのがアウトライナーの魅力と捉えている。

人生とか生活といったものはナマモノであり、それを脳内にどう入れておきたいか、というのも日々変化していく。ならば「やること」「考えたいこと」あるいは「考えたこと」「気付いたこと」などは全部1個の階層の中に入れ込んで、ぐにゃぐにゃ動かしながら生きていくのが自分の中では自然に思えている。というか、これが出来ないと結構つらい。おそらく、僕は僕の脳の扱いがあまり上手くない。人によっては、こういうことはチラシの裏があれば上手く整理して生活していけるのだろうと思うが、自分の場合は書き下したものが脳内と上手くシンクロしないとストレスに感じてしまう。

翻ってLogseqは、ページを基本単位としたツールだ。Workflowyのように自在に上下関係が変化し、全体と個別とが入れ替わるようなツールではなく、明確な「枠」がページとして切られる必然がある。

デイリーページで今日のページが作られると、それに対応したMarkdownファイルがローカルでは生成されている。それがどうも自分の脳と合わない。毎日がブツ切れになっているように感じてしまい、毎日をゆるやかに結ぶ全体感、というものをLogseq上に見出しづらい。「全体を管理する」ためのページをLogseqに1枚設けて、それとデイリーページの間でやり取りする、という形も試してはみたが、それでも乗れなかった。どうもLogseqの「ページを作る」という動作自体が苦手らしい。日々の思考の中には「今後どうなるかはわからないけど、取りあえずメモしておきたいこと」というものもあるのだが、そういう「取りあえず」をどこに置くかがLogseqだと悩ましい。未確定なのでページを切りたいわけではない。例えば #later みたいなタグをつけて、あとからfilteringして処理することもできなくはないが、Logseqでは文章を別の任意のページへ移動させる機能が現状なく、「取りあえず」で書いたものを全体のページへ移動させたりするには、カットアンドペーストする必要がある。ここさえクリアすれば、もしかしたらフィットしてくるかもしれない、という思いもある。

ツールの選定に長時間を費やすのはバッドプラクティスとされることが多く、自分もこんなことで悩みたくはないなとも思うのだが、日々の思考を支えてくれるツールというのは自分の生産性の根幹にあるだけに、ついつい考え込んでしまう。自分はおそらくLogseqがわりと好きなのだ。ローカルにメモを保存できるという点も、OSSである点も、Advanced queries という高機能な検索クエリが使える点も。それだけに、なんとかしてLogseqに移行できないかとつい試してみては、やはりダメだと戻ってくる、を繰り返している。

その繰り返しにさすがに嫌気がさしてきたので、現時点での結論を書き記しておくために、エントリーをしたためてみた。