NTT技術史料館に行ってきた
東京都武蔵野市にあるNTT技術史料館に行ってきました。
自分が最初に触ったコンピュータは多分 Power Macintosh G3 MT か初期の VAIO あたりで、それ以前の電子計算機というのは書籍の中で触れてはいるけれど見たことはないという感じで。もっと言えば基本情報技術者試験ですら自分にとっては「歴史」の勉強に近かったりして、例えばトークンリングとか習いますけど、実際に実装されてるのは見たことが多分なかったりします。そういうのが仕事に対して何か致命的な影響があるかと言うと特にないとは思うんですが、自分が寄って立つ技術の歴史にもう少し触れておきたいし、実物見たほうが実感が湧いて理解もしやすいだろうみたいなことはずっと考えていて、まぁそういう動機で行きました。
正直、ここの展示がコンピュータの歴史かと言うと怪しくて、というのもNTTの技術史料ですので電子計算というより情報通信技術が基本です。グラハム・ベルに始まり、インターネットまで。なので若干(自分の勝手な)期待とズレちゃった感はありますが、知らないことも多くてとても楽しめました(マウンテンビューの Computer History Museum にあたるものが国内にないかなーと思うんですが。今まで行った中だと電通大のUECコミュニケーションミュージアムが一番近いかも)。
圧巻だったのがクロスバ交換機。如何にも「こういうの好きだろ、おらっ」って感じの外観。電話回線交換を自動化するために作られた初期の機械ですが、今考えれば「たかがそれだけのこと」に身長を超える大きさの機械がいくつも並列に並べて使われていた、というのを身をもって知ることができるのはいい体験でしたし、高度経済成長を思わせる巨大で武骨な機械ってのはやっぱそそります。そもそも交換機発展の歴史すらよく知らないし。当時はソフトウェアという概念が無く、各回線の接続ロジックがすべてこのハードウェア上で表現されていたので、電話サービスの設計に何か変更が入るとハードウェアレベルで改修しなくてはならなかったというのも隔世の感があります。
その後電話交換はコンピュータ制御になりますが、そのあたりの分厚いフローチャートやプログラムコード、パンチカードなどが見られるのもまた素晴らしい。
ヒヤリ・ハット事例集。
これは海底ケーブルの中継機。めっちゃでかくて重厚で、深海の水圧というものを想像する。
個人的に面白かったのが、建築をテーマにした一角があったこと。通信に鉄塔が必要なのは自明ですけど、通信機と配線を収容するNTTビルについても、NTT内部の建築部門が長年尽力して保守運用に効率的な形を追求してきたというのは想像が至っていませんでした。現在では建築部門を内部に抱えているわけではなく、会社ごと独立してNTTファシリティーズと化しているみたいですが。
展示されているミニチュアの局舎を見て、「あーあー、あるわ、こういうNTTビル。この形には技術的な裏付けがあったのか」と納得したりする。このあたりの知識を付けると、街を見る目も変わりそうで面白い。
館内に展示されている機器は、実際に使われたあとでお役御免になったものを保存しているのが多いので、当時のメモ書きのようなものが残されているのも時代を感じて最高です。
2時間前後滞在しましたが、知らないことも多くて解説をちゃんと読んでいたら全然時間足りませんでした。一般公開は木金の13~17時半のみというだいぶ厳しい制限があるんですが、行くならこの時間をフルに使うつもりのほうがいいかもしれません。
ちなみにあんまり人いないです。人感センサーの照明がバシバシ落ちる。