the world as code

WFH を始めて半年が過ぎ、調えたり諦めたりしたこと

3月末からほぼずっと WFH ことリモートワークの状態になり、早半年が過ぎた。今はたまに出社するが、ほぼ毎日 WFH の状態になっている。 WFH を始めた直後に COVID-19 とリモートワーク - 設備だけではなくルーチンも大事 | the world as code というエントリーも書いたが、それから経験が積まれた今、改めて WFH はどうなんだ、ということを書いてみたい。

マルチディスプレイは要らなかった

Image from Gyazo

元々、部分的なリモートワークが OK な会社だったので、家に作業可能な環境は元々あるにはあったのだが、1日8時間労働を週5で続けるとなると粗が見えてくるもので、様々なものを買った。今後会社が替わっても、業種が替わらない限り WFH は長く続きそうだし、思い切ってお金を費やしていった。その中でも大きかったのがディスプレイと椅子。

ディスプレイは24インチ WQHD から、27インチ 4K に替えた。 DELL の U2720Q という、よく売れていそうなモデル。 Amazon 限定で U2720QM という、付属ケーブルだけが異なっていて少し安いモデルがあるので、そちらのほうが売れているかもしれない。僕が買おうとしたときには売り切れていたので、 U2720Q のほうを DELL 直販で買った。決め手は解像度はもちろん、 USB Type-C 1本で映像出力と給電双方が取れること。ずっと作業していると、ケーブルを少しでも減らしたい欲求が強くなり、 MBP に Type-C 1本挿せば OK という環境を整えた。

このディスプレイを買って以降、 MBP はクラムシェルモードで使っていて、マルチディスプレイはすっかりやらなくなってしまった。就職してから10年ぐらい、マルチディスプレイは必要不可欠だと思っていたのに、どうもそうではなかったらしい。解像度の高いディスプレイの中で複数ウィンドウを並べるほうが、物理的にディスプレイを並べるよりも机がスッキリするし、視線移動も少なくて済むので、集中力も削がれにくいことに気付いた。

ちなみにウィンドウの配置には AlfredDiv というプラグインを使って、キーボードだけでシュッと並べられるようにしている。

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WORKAHOLIC で椅子を買った

椅子はイトーキの YL8 という3万円ぐらいのものを使っていたのだが、バロンチェアこと、オカムラの Baron に乗り換えた。

馬喰町にオフィスチェア専門のセレクトショップ WORKAHOLIC という店があり、そこで実際に試しながら買った。来店予約のときに、使っている机の高さ、天板の厚さなどを伝えると、それに合わせた状態の昇降デスクを用意して待ってくれるので、椅子と机を合わせたときにどういう状態になるか想像しやすく、体験がよかった。今は2時間の時間制になっているので、ある程度見たい椅子に目星をつけて行かないと時間が足りないかもしれない。2時間、手当たり次第に試していると、意外にすぐに過ぎる。なお、品揃えは楽天でチェックできる。

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Baron の決め手は結構細かいところで、アームレストが内側60度まで曲げられるがために、机に思いっきり近づいたり、体勢の自由が利くことが大きいポイントになった。アームレストで肘を支えましょうとはよく聞くのだが、アームレストが天板とつっかえて、机と距離が離れることになり、上手くキーボードの位置と合わせて使えないのが今まで不満だったのだ。WORKHOLIC で正しい座り方を教えてもらったところ、やはりアームレストをちゃんと使って肘を支え、肩の力を抜くべきだという。そしてアームレストと机の高さを合わせることで、足裏が宙に浮いてしまうならば、フットレストを使って調整する。この座り方を徹底し始めたところ、集中力が持続しやすくなった。

以下の記事にも、この「正しい座り方」が解説されている。

通勤時間による脳の GC

「脳のGC(ガベージコレクション)」という言葉は 「サウナは、脳のガベージコレクション」。エンジニア兼サウナ経営者が、サウナの魅力を徹底解説! | アンドエンジニア から拝借した。僕もサウナや銭湯は好きで、頭の中を整理する時間に使うことがある。難点はいいアイディアを思いついても上がる頃には忘れがちなことで、裸で走ったアルキメデスは圧倒的に正しかったんだなとしみじみ感じている。

しかし風呂に行かずとも、自分にとって通勤時間がわりと「脳のGC」になっていたなと思う。勤め先は都内なので、会社から歩いて1分、10分、15分という具合に3つぐらいの駅を選ぶことができて、ちょっとモヤモヤしている日は遠めの駅まで歩きながら頭を整理することがよくあった。それでもどうにもならなさそうな日は、答えを求めてそのまま本屋に寄ったり、ノートに書き出すためにカフェに寄ったり。

WFH になって、そういう時間はすべて失われてしまった。仕事が終わるとすぐに「今日の夕食は何にしよう」という次の思考が始まってしまい、休まることがなくて、一時期は結構疲弊していた。仕事をする場所とプライベートな場所が同じなので、その間がシームレスで脳が動き続ける。通勤の時間は、緩やかに「仕事モード」から「プライベートモード」へ繋ぐ役割を果たしていた。

最近は終業後に一度散歩することを習慣化し始めた。これでまた「脳のGC」が進むようになったし、仕事を終えたことの区切りもつけられるようになった。

WFH がオフライン出社をすべて置き換えるわけではない

WFH は好きなのだけど、会社でやっていたことを全部置き換えるものではないと悟った。それは諦めた。

具体的には、複数人で意見を出し合ったり、何かを検討するような場にはあまり向いていない。例えば OKR をチームで設定するときなど、付箋で大量に意見を出して、ホワイトボードに並べながら検討することが多いのだが、これをオンラインで再現するのはなかなかに難しかった。

ということで、チームでグループワークが必要な際には基本的に物理出社するようになった。たまに物理出社して、リアルな場で MTG をすると、普段 zoom などで会話するのに比べて受け取る情報量が圧倒的に多いことを強く感じる。微妙な表情の変化やしぐさなどから、「あれ?○○さん何か納得できてない感じ?」って話を振るようなことがオフラインでは可能だけど、 オンラインだと容易ではない。あまりこういう抽象的な言葉を使うのは好きではなかったのだが、どうしても「場の空気」というものは存在するし、それはオンラインでは感じ取れないものだったりする。

もちろん、フルリモートで維持されている開発組織があるのも知っているのだけれど、自分の場合は合わなかった。ならばそこは柔軟に、「WFH を諦める」部分があってもいいんじゃないかと思っている。

WFH がすべての人に適しているわけではない

そして当然ながら、 WFH は誰もが肯定するものではない。僕は大好きだが、他の人が周りにいないとなかなか調子が出ないんだよね、って人も中にはいる。

だから WFH にせよオフィスで働くにせよ、どちらの方式でも強制はしたくないな、と強く思っているし、妥協点は常に探らなければならないと感じている。誰もが自由にしていいよ、というのもちょっと違うと思っていて、周りが誰も出社していないのに自分が出社しても仕方がない、ということもある。それであれば週に1回はチームで出社するだとか、別の方策を探さねばならない。

『リモートワークの達人』

「リモートワークの達人」を読んだ、そして悔しい思いをした - Magnolia Tech で話題になっていたので、僕もこの本を読んでみた。たしかにリモートワークに必要なことは全部書いてある、って言いたくなるような本だった。

何より、「全部常にリモートワークで回るよ」という全肯定ではなくて、働き方をフレキシブルにするとよい、ということに力点が置かれている点がよかった。集中したい時間はリモートで、それが終わったら出社するような、ハイブリッドな働き方を認めている。コロナ禍、特に緊急事態宣言の最中では完全リモートワークがやむなしだったが、今後長く感染症と付き合う上では、ハイブリッドが妥当な選択肢になっていくんじゃないかと思う。

自分の場合では、総合的には QOL が上がったと感じている。通勤時間がなくなって、時間を自由に使える幅が広がったこと。家事を回しやすくなり、平日はほぼ毎日自炊するようになったこと。おかげで家にいる時間をもっと充実させたくなって、実家を出て10年ぐらいして、おそらく初めて食器を買ってみたりもした。買ったのは波佐見焼の食器で、 xx 焼と付くような焼き物はもっと渋いイメージをしていたのだけれど、モダンな感じですごく気に入っている。食器に関する知識が広がって嬉しかった。

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今後 WFH が一般化するのかはよくわからない。 IT 系以外の業界だと、すでにその比率はかなり下がっているようにも感じるし、 IT 系であっても、コロナ禍が過ぎ去ってからも続けるかどうかはまちまちだろう。でも、僕としてはこのフレキシブルな状況が続いてほしいと思っている。そして WFH のやり方は今後もずっと模索を続けるんだと思う。もっとも、それはオフィスで働く場合と、変わらないという話でもあるけれど。