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帝京理工学部の通信課程を働きながら6年で卒業した

学位記2つ目

2つ目の学位記をゲットした。それぞれ学士(社会学)と学士(工学)なのだが、どちらもやたらとスコープが広くないか。

ということで、2019年春に入学した、帝京大学理工学部の通信課程をこの春に卒業した。2年次編入だったので、最短3年で卒業できるところ、働きながらとはいえ6年かかってしまった。

単位修得状況

評価 2年次 3年次 4年次 5年次 6年次 7年次 合計
S 8 2 4 2 6 6 28
A 12 8 6 8 8 0 42
B 4 4 6 4 2 0 20
C 0 4 0 0 0 0 4
合計 24 18 16 14 16 6 94

これ以外に、帝京以前に卒業していた大学の単位を32単位持ち込んでおり、合計126単位。卒業必要単位124を少しオーバーした。最終年は4単位だけ取ればよく、9月卒業も可能だったが、どうせ同じ授業料を払っているのだからと1年間在籍した。結局的に追加で修得した単位の数は多くなかったものの、単位は取らずとも資料を眺めたりした科目はいくつかあり、これはこれでよかったとは思う。

働きながら大学に通う難しさ

6年、という期間は結構かかってしまったなぁとは思うが、これ以上早められた気もしない。これぐらいが限界だったんじゃないだろうか。

帝京大学通信課程のシステムは以下の通りになる。

  • 単位の修得には、ごく一部科目を除いて「科目修得試験」合格が必要になる
  • 「科目修得試験」を受験するには、レポート合格かウェブ学習システム(LMS)上での課題合格が必要になる
  • 「科目修得試験」の受験機会は、年間にI〜IV期の4回がある
  • IとIII、IIとIV期の試験時間割は原則的に同じであり、1科目につき年2回の受験機会がある(不合格後に再受験も可能)

つまり大学は4期制であり、1期あたりの学習期間はざっくり2〜3か月程度になることが多い。例えばI期は6月頭にレポート締め切り、7月頭に試験がある。4月頭から学習を始めるとして、レポート提出まで2か月程度しかなく、おまけに科目によってはレポートA、Bの2つ提出が必要かつ、Aの締め切りは6月頭ではなくさらに1か月ほど早く設定されていたりもする。1科目あたり全15回という授業回数を考慮しても、1期あたり2〜3科目進めるのが精々というところになる。

継続的な学習は習慣化してしまうのが一番で、自分の場合は毎朝1時間半か2時間ぐらいを学習に充てることにしていた。入学間もない頃は夜をあてていたが、仕事を終えてからでは集中力がもたず、2年目ぐらいから朝へ切り替えた。ちょうどリモートワークが一般化した頃だったので、起床→朝食→勉強から、ほぼシームレスに仕事へと移ることができ、朝の時間はだいぶ有効に活用できた。卒業後も、この時間は学習時間として継続している。

当然、習慣化したところで仕事由来のインプットが必要であればそちらを優先したりもするし、家庭やプライベートの都合で時間が取れなくなることもある。試験日は予備日があるわけではないので、別の予定に重なったり、体調不良で試験自体を受けられないこともあった。90単位近くを働きながら修得するという行程は非常に長くてプレッシャーでもあり、無理なのではないか、やめてもいいんじゃないかと考えたこともあったが、どうにか卒業まで辿り着けた。今はただただホッとしている。

大学を選んだ目的と効果

大学に入学した理由は、 入学時に書いたエントリー で、「車輪の再発明をしないための学びであり、車輪を適切に応用していくための学びをしたかった」と記している。文系出身なので計算機科学や数学の基礎を知らないことへの不安があったが、その点は一定解消できたとは思っている。

よく言われる話ではあるが、大学の知識というのはすぐ実践的に役立たつとは限らない。これは計算機科学に限った話でもない。だが、ふとしたときに理解を深めたり、異なる知識をつなぐきっかけになったりする。IPAの試験がIT系エンジニアの基礎として尊ばれているのと同じロジックだと思う。

とはいえ、いわゆる「コスパ」「タイパ」が良い勉強法ではまったくない。大学の学部というところは、卒業するのに一般教養の単位も必要になる(今回は「持ち込み」により新規修得はほぼしていないが)し、必ずしも興味ある分野だけを学べばいいものでもない。逆に言えば、こんな機会でもなければ電気通信法や電子回路を深く学ぶこともなかっただろうし、最終年では卒業に必要のない地理学や日本史(近現代)も学べて楽しかった。このように知見が広がるのは大学ならではだが、シンプルに計算機系の知識だけほしいとかであれば別の勉強法のほうがいいと思う。

副次的に身についたこと

短期間で多くの知識を覚える機会や、効率的かつ綺麗なアウトプットをする機会が増えたので、それまで使っていなかったさまざまなツールを駆使するきっかけにもなった。 社会人大学生1年目を終えて、大学生活と勉強法とその困難 - chroju.dev で書いたiPad Pro、Anki、Scrapbox、LaTeX、 帝京大学通信課程での社会人大学生3年目を終えて - chroju.dev に書いたテプラやGitHub Projectなどはいずれも卒業まで使い続けた。

他に追加で使ったものには、Wolfram|Alpha がある。数学を中心として、さまざまな問題を計算し、その過程を含めて表示してくれるサービスだが、大学の参考書には「過程」が載っていない場合も多く、重宝した。全機能をアンロックするには有償のProに登録する必要があるものの、学割でほぼ半額になる。

Generative AIについてはまさに在学中に出てきたのだが、あまり活用できないまま終えてしまった。レポートをまるごと生成するのは当然論外だが、NotebookLMや各種のDeepSearchなどは学習支援として相当に役立つはずだ。なお、帝京では「AI使用が全面禁止」といったことにはなっていなかったとは思うが、記憶が曖昧なので参考程度の情報としておいてほしい。

今後の「進学」について

今のところまったく考えていないが、修士にも興味はある。それが計算機関連になるのかはわからない。今働いている会社がMBA(経営学修士)の大学院を運営しており、自身もマネージャーを務めている関係から、そちら方面への興味もある。とはいえ一旦は休みたい気持ちが強いので、また気が向いたら考えようと思う。